日本ナレーション演技研究所(通称:日ナレ)への入所を考えたとき、実際に声優になれる確率はどのくらいなのか、気になりますよね。週一コース出身の有名声優が多い一方で、オーディションは厳しく、誰もがプロになれるわけではありません。また、高額な費用を払って後悔しないか、入所審査で落ちることはあるのか、といった不安もあるでしょう。中には、進級審査に落ちた場合どうなるのか、講師にはずれがいるという噂は本当なのか、といった具体的な心配事を抱えている方もいるかもしれません。結局のところ、日ナレに通っても声優になれないという現実もあるため、正確な情報を知ることが重要です。
- 日ナレのデビュー率や所属オーディションの倍率
- 入所からデビューまでの流れと必要な費用
- 入所審査や進級審査の具体的な内容と実態
- 入所後に後悔しないためのポイントと注意点
データで見る日ナレで声優になれる確率
- 入所審査で落ちることはあるのか?
- デビュー率はどのくらいなのか
- 日ナレの費用は年間でどのくらい?
- 週一コース出身の有名声優はいる?
- 入所後に後悔しないための注意点
入所審査で落ちることはあるのか?
結論から言うと、日ナレの入所審査で落ちることはほとんどありません。複数の情報源で、入所倍率はほぼ1倍と言われています。つまり、希望すれば基本的には入所できると考えてよいでしょう。
ただし、誰でも100%合格するわけではありません。社会人としての一般的な常識やコミュニケーション能力に著しく欠けていると判断された場合は、不合格になる可能性も考えられます。例えば、面接での態度が悪かったり、意思疎通が困難だったりするケースです。
審査内容は主に以下の3つで構成されています。
- 筆記試験: 中学校卒業レベルの国語の問題や短い作文が出題されます。特別な対策は不要ですが、基本的な漢字の読み書きや文章作成能力は確認しておくと安心です。
- 実技試験: 自己PRや渡されたセリフを読むといった内容です。未経験者が大半であるため、現時点での演技力よりも、声優になりたいという熱意や表現しようとする姿勢が評価される傾向にあります。
- 面接: 志望動機やレッスン歴などを聞かれます。ハキハキと大きな声で、自分の言葉で受け答えすることが大切です。
コミュニケーション能力は必須
演技力以前に、講師や他の生徒と円滑な人間関係を築けるかは重要視されます。審査の段階から、協調性や真摯な態度を心がけることが、合格への第一歩と言えるでしょう。
このように、入所審査のハードルは決して高くありません。声優への道を志す人に対して広く門戸を開いているのが、日ナレの大きな特徴です。
デビュー率はどのくらいなのか
日ナレに入所できたとして、そこからプロの声優としてデビューできる確率は、決して高いとは言えません。複数のデータを総合すると、実際のデビュー率は受講生全体の約1.3%〜5%とされています。
これは、関連事務所の所属オーディションの倍率に換算すると、約75倍にもなる狭き門です。毎年、全国にいる約2,000人以上のレッスン生の中から、事務所に所属できるのは30名〜50名程度という計算になります。
数字のマジックに惑わされない
倍率75倍と聞くと圧倒されてしまうかもしれません。しかし、これには考慮すべき点があります。全受講生がプロを本気で目指しているわけではなく、中には趣味や自分磨きのために通っている人も少なくありません。「本気でプロを目指している人」に絞ると、実際のライバルはもっと少ないと考えられます。
日ナレのクラスは「基礎科」「本科」「研修科」とレベル別に分かれていますが、基礎科から1年で事務所の預かり所属になる人もいます。必ずしも研修科まで進まなければデビューできないわけではなく、実力と成長度合いによっては早期にチャンスを掴むことも可能です。
数字だけを見ると厳しい世界ですが、日ナレという環境の中で上位30位以内に入ることを目指す、と考えれば、少し見え方が変わってくるのではないでしょうか。
日ナレの費用は年間でどのくらい?
日ナレは、他の声優養成所と比較して学費が安いことで知られています。しかし、決して小さな金額ではないため、入所前にしっかりと確認しておくことが重要です。ここでは、主なコースの費用をまとめました。
主なコースの初年度費用(4月入所の場合)
コース名 | 合計費用(税込) | 内訳(入所金+年間授業料) | 備考 |
---|---|---|---|
週1回クラス | 308,000円 | 88,000円+220,000円 | 最も一般的なコース。高校生は入所金が半額。 |
週2回クラス | 440,000円 | 88,000円+352,000円 | 演技に加えボーカルレッスンも受講可能。 |
ジュニア声優クラス | 年額 約10万円 | 入所金22,000円+月謝6,600円 | 小5〜中3対象。 |
上記の金額は4月入所の初年度費用です。2年目以降は入所金が不要になります。また、7月や10月に入所するコースもあり、その場合は年間の受講料が異なります。分割払いも可能なので、詳細は公式サイトで確認することをおすすめします。
他の大手養成所では年間40万円〜70万円以上かかることも珍しくないため、日ナレの費用設定は比較的リーズナブルと言えます。これにより、学生や社会人でもアルバイトなどと両立しながら通いやすい環境が整っています。
週一コース出身の有名声優はいる?
「週一回のレッスンだけで本当にプロになれるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、日ナレの週一コースからは、現在第一線で活躍する多くの有名声優が誕生しています。
実際に、基礎科在籍中に事務所への所属を決めた方も少なくありません。
週一コース出身の代表的な声優(一部)
- 下野紘さん: 『鬼滅の刃』我妻善逸役、『進撃の巨人』コニー・スプリンガー役など
- 中原麻衣さん: 『ひぐらしのなく頃に』竜宮レナ役、『CLANNAD』古河渚役など
- 斎藤千和さん: 『〈物語〉シリーズ』戦場ヶ原ひたぎ役、『魔法少女まどか☆マギカ』暁美ほむら役など
- 梶裕貴さん: 『進撃の巨人』エレン・イェーガー役、『七つの大罪』メリオダス役など
ここに挙げた方々はほんの一例です。他にも数多くの卒業生が、アニメ、ゲーム、吹き替え、ナレーションなど様々な分野で活躍されています。この事実は、週一回のレッスンでも、本人の努力次第でプロへの道は十分に開かれていることを証明しています。
重要なのは、レッスンの回数だけでなく、レッスンで学んだことをいかに自主練習で自分のものにしていくかです。週一回のレッスンを最大限に活かし、次のレッスンまでの6日間で課題を克服し、成長していく姿勢が求められます。
入所後に後悔しないための注意点
日ナレへの入所は比較的容易ですが、入所後に「思っていたのと違った」と後悔しないためには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。
1. 目的意識を明確にする
前述の通り、日ナレには様々な目的を持った人が通っています。本気でプロを目指す人もいれば、趣味の一環として通う人もいます。そのため、周りの雰囲気に流されず、「自分はプロの声優になる」という強い意志を持つことが非常に重要です。明確な目標がなければ、厳しいレッスンや競争の中でモチベーションを維持するのは難しいでしょう。
2. SNSでの発言に気をつける
関連事務所オーディションに合格した際など、嬉しさのあまりSNSで結果を公表したくなるかもしれません。しかし、これは絶対に避けるべきです。事務局から正式な発表がある前に情報を漏らすことは、情報管理能力を疑われる行為です。場合によっては、合格が取り消しになる可能性もあるため、細心の注意が必要です。
3. 上京を視野に入れる
日ナレは全国に校舎がありますが、声優の仕事のほとんどは東京に集中しています。地方校で基礎を学ぶことは可能ですが、プロとして本格的に活動していくためには、いずれ上京する必要があることを念頭に置いておきましょう。学生のうちから少しずつ資金を貯めるなど、将来的な計画を立てておくとスムーズです。
養成所は「学校」ではない
養成所は、通えば必ず声優になれる場所ではありません。あくまでプロになるための技術とチャンスを得るための「訓練所」です。受け身の姿勢ではなく、自ら積極的に学び、チャンスを掴みに行くという意識がなければ、厳しい競争を勝ち抜くことはできません。
日ナレで声優になれる確率を上げるには
- 講師にはずれがいるという評判は本当?
- 進級審査に落ちた場合のその後は?
- 所属オーディションの倍率と推薦制度
- 日ナレに行っても声優になれない現実
- 総括:日ナレで声優になれる確率とは
講師にはずれがいるという評判は本当?
「講師に当たりはずれがある」という口コミは、日ナレに限らずどの養成所でも見られるものです。これは、講師と生徒の相性の問題や、講師の指導方針が生徒の求めるものと一致しない場合に生じることが多いようです。
日ナレには、現役の声優や俳優、舞台演出家など、様々な経歴を持つ講師が多数在籍しています。そのため、講師によって教え方や得意な分野が異なるのは当然と言えます。ある生徒にとっては最高の講師でも、別の生徒にとっては「はずれ」と感じてしまう可能性は否定できません。
講師との関係構築も実力のうち
大切なのは、「はずれだ」と決めつけて思考を停止するのではなく、どのような講師からも何かを学び取ろうとする姿勢です。講師も人間ですから、熱心で真摯な態度の生徒を応援したくなるものです。たとえ厳しい指摘を受けたとしても、それを成長の糧と捉え、素直に改善しようと努力することで、講師との信頼関係は築かれていきます。
また、レッスンでの積極的な質問や、礼儀正しい挨拶といった基本的なコミュニケーションを心がけることも、良好な関係を築く上で重要です。講師を味方につけることができれば、所属オーディションで有利になる「講師推薦」を受けられる可能性も高まります。
進級審査に落ちた場合のその後は?
日ナレでは、毎年1月頃に次のクラスを決めるための「進級審査」が行われます。この審査で思うような結果が出なかった場合、どうなるのでしょうか。
まず、日ナレの各学科(基礎科・本科・研修科)には、原則として最長2年間まで在籍することが可能です。つまり、一度進級審査に落ちたとしても、すぐに退所になるわけではありません。もう1年間同じクラスで学び直し、再度進級を目指すことができます。
2年連続で進級できない場合
原則として、同じクラスで2年連続進級できなかった場合は、退所となります。これは、限られた期間の中で成長が見られない場合、プロとして活動していくのは難しいという判断に基づいています。ただし、受講生本人が強く希望し、事務局から許可が得られれば、例外的に3年目の在籍が認められるケースもあるようです。
進級審査は、単に上のクラスに進むための試験ではありません。同時に、関連事務所への所属を決めるオーディションも兼ねています。審査に落ちることは辛い経験ですが、そこで自分の課題が明確になったと捉え、次の1年間で克服していくことが、結果的にデビューへの近道となるでしょう。
所属オーディションの倍率と推薦制度
前述の通り、日ナレの関連事務所オーディションは、倍率約75倍という非常に厳しいものです。この狭き門を突破するために、非常に重要になるのが「推薦制度」です。
オーディションは通常、1次審査から最終審査まで複数回にわたって行われます。しかし、「講師推薦」や「事務局推薦」を得ることができれば、この1次審査が免除されます。
実際のところ、2次審査に進む生徒の大半が何らかの推薦を受けていると言われており、推薦がなければ最終審査まで進むのは極めて難しいのが現実です。つまり、プロの声優になるためには、まずこの推薦を勝ち取ることが最初の目標となります。
推薦を得るためのポイント
- レッスンで常に上位の成績を収める: クラスでトップ3に入るくらいの意識が必要です。日々のレッスンへの取り組みや成長度が最も重要な評価基準となります。
- 講師や事務局員との良好な関係: 挨拶や感謝の言葉を忘れないなど、基本的なコミュニケーションを大切にしましょう。実力が同程度であれば、応援したいと思える生徒が選ばれるのは自然なことです。
- 指摘された点をすぐに改善する姿勢: 講師からのアドバイスを素直に受け入れ、すぐに実践できる生徒は成長が早いと評価されます。
全国のライバルの中で上位30位に入るためには、まず自分のクラスで1位になるくらいの気概が求められます。推薦制度は、そのための試金石と言えるでしょう。
日ナレに行っても声優になれない現実
ここまで見てきたように、日ナレは優れた育成ノウハウと多くのデビュー実績を持つ、業界最大手の養成所です。しかし、日ナレに通えば誰もが声優になれるわけではない、という厳しい現実も直視しなければなりません。
毎年多くの受講生が入所しますが、その中で事務所に所属し、プロとしての一歩を踏み出せるのは、ほんの一握りの人材だけです。大半の人は、夢半ばで養成所を去っていくことになります。
声優になれない主な理由としては、以下のような点が挙げられます。
- 才能や実力が及ばなかった
- モチベーションを維持できず、努力を継続できなかった
- 厳しい競争の中で、精神的に挫折してしまった
- 経済的な理由でレッスンを続けられなくなった
これは日ナレに限った話ではなく、声優業界全体の現実です。現在活躍している声優は、才能はもちろんのこと、並々ならぬ努力と強い精神力、そして運を味方につけて、この厳しい競争を勝ち抜いてきた人たちです。日ナレへの入所は、その厳しい道のりのスタートラインに立つための切符に過ぎないのです。
ただ、悲観的になる必要はありません。「なんとなく」で通う人も多い中で、「絶対に声優になる」という強い覚悟を持って努力を続ければ、それだけでライバルに差をつけることができます。厳しい現実を理解した上で、それでも挑戦したいという情熱があるかどうかが、運命の分かれ道となるでしょう。
総括:日ナレで声優になれる確率とは
- 日ナレの入所倍率はほぼ1倍で審査に落ちることは稀
- 事務所所属オーディションの倍率は約75倍と非常に高い
- 実際のデビュー率は全受講生の約1.3%から5%程度
- 費用は週一クラスの初年度で約30万円と比較的安い
- 週一コース出身の有名声優は下野紘さんなど多数存在する
- 入所後に後悔しないためには明確な目的意識が不可欠
- 講師にはずれがいるというより相性の問題が大きい
- 講師との信頼関係構築もデビューには重要な要素
- 進級審査に一度落ちても同じクラスで再挑戦が可能
- 2年連続で進級できない場合は原則として退所となる
- オーディション突破には1次審査が免除される推薦制度が鍵
- 推薦を得るには日々のレッスン態度や成績が評価される
- 日ナレに通っても声優になれない人が大半という現実はある
- 強い意志と努力を継続できるかが成功の分かれ道となる
- 日ナレで声優になれる確率は低いがゼロではない