「自分には特徴がない普通の声だから声優は無理かも…」と悩んでいませんか。アニメや映画で活躍する声優の声は特別だと言われることが多く、自分の声質に自信が持てない方も少なくありません。この記事では、声優に求められる声質の一覧や、簡単な向いている声診断の方法、プロが行う声の使い分けや声の出し方まで、網羅的に解説します。男性特有の悩みを持つ方も、ぜひ参考にしてください。
- 声優に求められる声質の種類
- 自分に向いている声の傾向
- 特徴がない声でもプロになれる理由
- プロが実践する声の出し方とトレーニング
プロの声優の声になるには?素質と特徴を解説
- 声優に求められる声質の一覧
- 簡単な向いている声診断の方法
- いい声と言われる人の共通点
- 特徴がない普通の声でもなれる?
- 男の声優に求められる声とは
声優に求められる声質の一覧
声優の仕事は、多種多様なキャラクターに命を吹き込むことです。そのため、特定の「良い声」だけが求められるわけではなく、役柄に応じて様々な声質を使い分ける能力が重要になります。ここでは、現場で求められる代表的な声質を一覧でご紹介します。
声優は地声で話すことがほとんどありません。これから紹介するような様々な声質を、キャラクターに合わせて「メイク」するように作り出しているんです。まずはどんな種類があるか知ることから始めましょう。
声質の種類 | 特徴 | 代表的な役柄・シーン |
---|---|---|
チェストボイス | 地声。胸に響かせる力強い声。 | 一般的な会話、力強いキャラクター、アクションシーン |
ミドルボイス | 地声と裏声の中間。自然な響きで聞きやすい。 | 主人公、ヒロイン、ナレーションなど幅広く対応 |
ヘッドボイス | 頭に響かせる高い声。透明感がある。 | 歌唱シーン、繊細な感情表現、若いキャラクター |
ファルセット | 息漏れの多い、柔らかい裏声。 | 幼いキャラクター、動物、神秘的な存在 |
ウィスパーボイス | ささやき声。息を多く使う。 | 恋愛シーン、秘密を話す場面、緊張感の演出 |
エッジボイス | 声帯を軽く閉じて出す「ガラガラ」した声。 | クールなキャラクター、悪役、気だるい雰囲気の演出 |
ミックスボイス | 地声と裏声を滑らかに繋いだ声。 | 歌唱、感情の起伏が激しいキャラクター |
これらの声質を自在に操れるようになると、演じられる役の幅が格段に広がります。まずは自分の出しやすい声質、苦手な声質を把握することから始めましょう。
簡単な向いている声診断の方法
声優を目指す上で、自分の声を客観的に理解することは非常に重要です。なぜなら、自分が聞いている声と、他人が聞いている声、そしてマイクが拾う声は全く異なるからです。ここでは、自宅で簡単にできる声質診断の方法をいくつか紹介します。
ボイスレコーダーで録音して聞く
最も基本的で効果的な方法が、自分の声を録音して聞き返すことです。スマートフォンに標準で搭載されているボイスメモアプリで十分です。好きなアニメのセリフやニュース記事などを読み、それを録音して聞いてみましょう。
チェックポイント
- 声の高さはどうか(高い、低い、普通)
- 声のトーンは明るいか、暗いか
- 滑舌は明瞭か、こもっている部分はないか
- 息継ぎのタイミングや音はどうか
最初は自分の声に違和感を覚えるかもしれませんが、これが他人に聞こえているあなたの声です。繰り返し録音とチェックを行うことで、自分の声の特徴や課題が見えてきます。
友人や家族に聞いてもらう
自分一人での判断が難しい場合は、信頼できる友人や家族に聞いてもらい、フィードバックをもらうのも良い方法です。どのような印象を受けるか、聞き取りにくい部分はないかなど、率直な意見をもらうことで新たな発見があるでしょう。
注意点
これらの方法はあくまで簡易的な自己診断です。自分の声の可能性を限定的に捉えるのではなく、トレーニングによって声は大きく変わるということを忘れないでください。本格的な診断を希望する場合は、声優養成所などの体験レッスンに参加してみることをおすすめします。
いい声と言われる人の共通点
声優やナレーターなど、「いい声」と言われる人たちには、いくつかの共通した特徴があります。それは単に生まれ持った声質だけでなく、トレーニングによって後天的に身につけた技術による部分が大きいです。
最大の共通点は「聞き取りやすさ」と「響き」です。どんなに美しい声でも、セリフが聞き取れなければ意味がありません。そのために、プロは以下の点を意識しています。
腹式呼吸ができている
発声の基本である腹式呼吸をマスターしています。これにより、声量が安定し、長く話しても疲れにくくなります。
滑舌が明瞭である
一音一音をはっきりと発音する訓練を積んでいます。特に、苦手な音がないように、徹底的に練習しています。
声が響いている(特に鼻腔共鳴)
声を口先だけでなく、鼻の奥(鼻腔)や頭蓋骨に響かせることで、豊かでよく通る声を生み出しています。プロの声優は、「鼻に口がある」ようなイメージで発声すると言われることもあります。この鼻腔共鳴を使いこなせると、声に深みと説得力が生まれます。
鼻腔共鳴の簡単なチェック方法
口を閉じて「んー」とハミングしてみてください。そのとき、鼻の付け根あたりがビリビリと振動していれば、鼻腔共鳴が使えている証拠です。この感覚を保ったまま、他の言葉も話せるように練習することが「いい声」への近道です。
特徴がない普通の声でもなれる?
「自分の声は特徴がなくて普通だから、声優には向いていないのでは?」という悩みは、声優志望者から非常によく聞かれる質問です。しかし、結論から言うと、特徴がない普通の声でも声優になることは全く問題ありません。むしろ、場合によってはそれが大きな武器になることさえあります。
その理由は、プロの声優が仕事で使う声のほとんどが、地声そのものではないからです。地声を「素材」として、役柄に合わせて「メイク」したり、全く別の声に「整形」したりしてキャラクターの声を作り上げています。
特徴的な地声は、特定の役にはまりやすいというメリットがある一方で、そのキャラクターのイメージが強く付きすぎてしまい、他の役を演じる際に邪魔になるというデメリットも存在します。特に新人時代は、様々な役柄をこなせる器用さが求められる傾向にあります。
その点、普通の声はクセがないため、どんな役にも染まりやすいという「汎用性の高さ」があります。様々なキャラクターボイスを作り出す上で、ベースとなる声にクセがないことは大きなアドバンテージになり得るのです。したがって、声に特徴がないと悩む必要は全くありません。大切なのは、その「普通の声」を素材として、いかに魅力的なキャラクターボイスに加工できるかという技術です。
男の声優に求められる声とは
男性声優に求められる声質も、時代や作品のジャンルによって変化しますが、現在のアニメ・吹き替え業界では、特に「響きのある低音ボイス」の需要が高まっている傾向にあります。
この背景には、声優志望者の若年化が進み、比較的高めの声質の人が多くなっていることが挙げられます。そのため、落ち着いた響きを持つ低音域を安定して出せる声優は、非常に貴重な存在として重宝されるのです。
ジャンル別で求められる声の傾向
- アニメ:主人公役では中音域〜高音域も多いですが、ライバル役、父親役、敵役など、物語に深みを与える重要なキャラクターには低音ボイスが求められることが多いです。特に、知的でクールなキャラクターや、威厳のあるキャラクターに低音は欠かせません。
- 吹き替え:海外の俳優は、日本人と比較して声が低い傾向にあるため、吹き替えでは自然と低音域が求められます。特にハリウッド映画の主人公などは、中音〜低音域の声質がマッチすることが多いです。
- ナレーション:番組やCMのナレーションでは、情報を正確に伝え、視聴者に安心感や信頼感を与える声が求められます。このため、落ち着きと説得力のある中音〜低音ボイスが圧倒的に有利とされています。
もちろん、高音域や中音域に魅力がある声優も数多く活躍しています。しかし、もし自分の声が低めであるなら、それは大きな武器になる可能性があります。低音ボイスを磨き、安定した発声を身につけることで、他の志望者と差別化を図ることができるでしょう。
声優の声の作り方とトレーニング方法
- 基本となる響く声の出し方
- プロが行う声の使い分けテクニック
- 腹式呼吸のトレーニング方法
- 滑舌を良くする練習メニュー
- プロの声を真似る練習のコツ
- まとめ:理想の声優の声を目指して
基本となる響く声の出し方
聞き取りやすく魅力的な声の基本は「響き」にあります。声が響くとは、声が口先だけでなく、体全体を使って共鳴している状態のことです。特に重要なのが「喉を開く」ことと「鼻腔を響かせる」ことです。
喉を開くトレーニング
声の通り道である喉が締まっていると、声がこもってしまいます。あくびをするときの感覚が、喉が開いている状態に近いです。
- リラックスして、軽く口を開けます。
- あくびをするように、喉の奥を大きく広げるイメージを持ちます。
- その状態をキープしたまま「あー」と声を出してみましょう。
この時、いつもより声がリラックスして、喉の奥から出ているような感覚があれば成功です。
鼻腔共鳴のトレーニング
前述の通り、鼻腔共鳴は声に深みを与えるために不可欠です。
- 口を閉じて、リラックスした状態で「んー」とハミングします。
- 鼻の付け根や唇の周りがビリビリと振動するのを感じてください。
- その振動を意識したまま、「まー」「なー」といった鼻にかかりやすい音を発声します。
- 慣れてきたら、その響きを保ったまま普通のセリフを話す練習をします。
この「響き」の感覚を掴むことが、いわゆる「アニメ声」や「イケボ」と呼ばれるような、キャラクターボイスを作る上での基礎となります。日々の練習で、響かせるポイントを体に覚えさせましょう。
プロが行う声の使い分けテクニック
プロの声優は、一つの作品の中でもキャラクターの感情や状況に応じて、声のトーン、高さ、響かせ方を瞬時に変化させています。これは、声帯や共鳴腔のコントロール技術によるものです。ここでは、その基本的な使い分けテクニックを紹介します。
声の響かせ方による使い分け
- チェストボイス(胸に響かせる):地声の基本。日常的な会話や、落ち着いたキャラクター、力強さを表現する際に使います。安定感と説得力のある声になります。
- ミドルボイス(鼻腔に響かせる):最も汎用性の高い響かせ方。アニメの主人公やヒロインなど、多くのキャラクターのベースとなる声です。明るく、よく通る声になります。
- ヘッドボイス(頭に響かせる):高音域を出す際の響かせ方。驚きや叫び声、歌唱などで使われます。芯のあるクリアな高音が出せます。
距離感の表現
声優は声だけでキャラクター間の距離感を表現します。
- 遠くにいる相手に呼びかける:声を張り、遠くに飛ばすイメージで発声します。腹式呼吸でしっかりと息を支えることが重要です。
- 近くにいる相手にささやく:息の成分を多く含んだウィスパーボイスを使います。声量は小さいですが、息のコントロールが非常に難しいテクニックです。
これらの使い分けは、一朝一夕で身につくものではありません。自分の体のどの部分が響いているかを意識しながら、様々なセリフで練習を繰り返すことが上達への道です。
腹式呼吸のトレーニング方法
腹式呼吸は、声優にとって最も重要な基礎技術と言っても過言ではありません。お腹の筋肉(横隔膜)を使って呼吸することで、一度にたくさんの息を取り込み、安定した声量で長く声を出し続けることができます。毎日の習慣にしたい、基本的なトレーニング方法を紹介します。
仰向けになって感覚を掴む
- 床に仰向けに寝て、全身の力を抜きます。お腹の上に軽く手を置きましょう。
- 鼻からゆっくりと息を吸い込みます。このとき、胸ではなくお腹が風船のように膨らむのを意識してください。
- 口からゆっくりと、吸ったときよりも長い時間をかけて息を吐き出します。お腹が徐々にへこんでいくのを感じましょう。
まずはこの呼吸を10回ほど繰り返します。寝ているときは自然と腹式呼吸になっていることが多いので、この感覚を立った状態でも再現できるようにすることが目標です。
ロングブレス・トレーニング
息をコントロールする力を養うトレーニングです。
- 立った状態で、腹式呼吸で息をいっぱいに吸い込みます。
- 「スー」と歯の隙間から、できるだけ細く、長く、一定の強さで息を吐き続けます。
- 何秒間息を吐き続けられたか、時間を計ってみましょう。
最初は15秒〜20秒を目標にし、慣れてきたら30秒、40秒と徐々に時間を延ばしていきましょう。このトレーニングを続けることで、セリフの途中で息が苦しくなることが減り、声の安定感が格段に増します。
滑舌を良くする練習メニュー
どんなに良い声でも、滑舌が悪くてセリフが聞き取れなければ、声優として仕事になりません。滑舌は、舌や唇、表情筋などの口周りの筋肉を鍛えることで改善できます。ここでは、代表的な練習メニューをいくつかご紹介します。
母音法
口を大きく、はっきりと動かすことを意識して母音だけで発声する練習です。
例:「あえいうえおあお」「かけきくけこかこ」
各行をこの要領で練習します。一音一音、口の形をしっかり作ることを意識してください。
早口言葉
定番の練習方法ですが、非常に効果的です。最初はゆっくり、正確に発音することから始め、徐々にスピードを上げていきましょう。
- 生麦生米生卵(なまむぎ なまごめ なまたまご)
- 隣の客はよく柿食う客だ(となりのきゃくはよくかきくうきゃくだ)
- 東京特許許可局長今日急遽休暇許可却下(とうきょうとっきょきょかきょくちょうきょうきゅうきょきゅうかきょかきゃっか)
録音して、苦手な音や言いにくい箇所を特定し、そこを重点的に練習すると効率的です。
滑舌練習の注意点
力みすぎは禁物です。口周りの筋肉をリラックスさせた状態で行うことが大切です。練習前には、舌を回したり、唇をブルブルと震わせる(リップロール)など、ウォーミングアップを行うと良いでしょう。
プロの声を真似る練習のコツ
好きな声優や目標とする声優の声を真似る(コピーする)ことは、上達への非常に有効な練習方法です。ただ闇雲に真似るのではなく、ポイントを押さえることで、その効果を最大限に高めることができます。
この練習の目的は、完全に同じ声になることではありません。プロの声優がどのように息を使っているのか、どの辺りを響かせているのか、どんなリズムで話しているのか、その「感覚」を盗むことが重要なんです。
練習のサイクル
- ①真似る:好きな声優のアニメのセリフやナレーションを一言、注意深く聞きます。声の高さ、速さ、抑揚、息遣いなどを細かく観察しましょう。そして、できるだけ忠実に真似て声に出します。
- ②録音する:真似した自分の声を必ず録音します。
- ③チェックする:お手本の声と、録音した自分の声を何度も聞き比べます。どこが違うのか、何が足りないのかを客観的に分析します。
この①〜③のサイクルを何度も繰り返すことが重要です。最初は全く似ていなくても、繰り返すうちに少しずつプロの技術に近づいていくことができます。
真似る声優を選ぶ際のポイント
自分の地声の声質とあまりにもかけ離れている声優を真似ると、喉を痛める原因になります。最初は、自分の声の高さに近い声優さんを選ぶのがおすすめです。また、流行の演技を学ぶためにも、できるだけ最近のアニメ作品を参考にすると良いでしょう。
まとめ:理想の声優の声を目指して
最後に、この記事の要点をまとめます。理想の声優の声を手に入れるための参考にしてください。
- 声優になるために特定の生まれ持った声は必要ない
- プロは地声ではなく役に合わせて加工した声を使う
- 自分の声を客観的に知ることが上達の第一歩
- スマホのボイスレコーダーでの録音とチェックが有効
- 聞き取りやすい声の土台は腹式呼吸にある
- 鼻の奥を響かせる鼻腔共鳴を意識すると声に深みが出る
- 滑舌練習は明瞭な発音のために毎日行うべき
- プロの声の真似は需要のある声や技術を学ぶ上で効果的
- 特徴がない普通の声はどんな役にも染まれる汎用性が武器になる
- 現在、男性声優は響きのある低音ボイスの需要が高い
- 声質にはウィスパーやエッジボイスなど様々な種類がある
– キャラクターの感情や距離感による声の使い分けがプロの技術 – 喉を開くトレーニングで声の通りを良くする – 日々の地道なトレーニングの積み重ねが最も重要 – 理想の声優の声は才能ではなく努力で作ることができる